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書院庭園の「礼拝石」を調査

池の岸に埋もれていた「礼拝石」とみられる平石(手前右)を確認する文化財調査委の庭園班メンバー=妙成寺の書院庭園

 妙成寺文化財調査委員会の庭園班メンバーは3月中旬、書院庭園の現地調査を行い、池の岸に埋もれていた石が境内の堂塔などを仰ぎ見る「礼拝石」であった可能性が大きいとみています。

 池の岸にある石は、書院縁側の正面に位置しています。石を覆っていた土砂を取り除くと表面は平らで、池側の長軸(南北方向)75センチ、岸側の短軸(東西方向)45センチほどの台形でした。池に向かってやや傾いていますが、元々は岸に平らに置かれていたものとみられます。

 平石からは、池越しの左手に五重塔、右手に祖師堂が見え、2つの建物の間には五重塔建立を発願した寿福院の墓が位置しています。調査に当たった石川県夕日寺健民自然園の森永壽久園長は、総合的に判断して、礼拝の対象に手を合わせたり、庭園全体を見渡したりするために設置された礼拝石であった可能性が大きいとみています。礼拝石に関する記述は既存の文書や絵図にはなく、今後さらに調査が必要となります。