長谷川等伯はせがわとうはくの信春のぶはる時代(在能登)の画像二幅 妙成寺(みょうじょうじ)は、七尾生まれの画聖・長谷川等伯の若い頃、すなわち長谷川信春(のぶはる)の落款(らっかん)(印鑑)のある、二幅の画像を所蔵しています。「日乗上人(にちじょうしょうにん)画像 絹本(けんぽん)著色(ちゃくしょく)一幅」と「仏涅(ぶつね)槃図(はんず) 絹本著色一幅」です。いずれも石川県指定有形文化財で、現在、石川県七尾美術館に寄託されています。 「日乗上人画像 絹本著色一幅」に描かれているのは、妙成寺(みょうじょうじ)の開創である満蔵(まんぞう)法印(ほういん)日乗(にちじょう)です。日乗上人は日蓮聖人(にちれんしょうにん)の孫弟子・日像(にちぞう)を開山として、自らは第2世住持(じゅうじ)となり、110歳の大往生(だいおうじょう)を遂げたとされます。日乗上人が右手に檜扇(ひおうぎ)、左手に法華経(ほっけきょう)をもって読経(どきょう)する姿を描いています。画像の左下方に、矩形(くけい)の「信春(のぶはる)」印が捺(お)されており、20歳代の信春が描いたものとみられています。 「仏涅(ぶつね)槃図(はんず) 絹本著色一幅」は、釈迦(しゃか)の最期(さいご)を嘆き悲しむ仏弟子や菩薩(ぼさつ)、動物たちが描かれています。多彩色で細緻(さいち)、リアルに書き込まれており、等伯及び長谷川派の涅槃図の基礎になったのではないかと見られています。画像の右下方に「長谷川」朱文(しゅもん)小判(こばん)形印(がたいん)と「信春」朱文(しゅもん)袋(ふくろ)形印(がたいん)が捺(お)されており、その下に小さく「 卅才 」(さんじゅっさい)の墨書があることから、信春30歳の作とみられています。 戻る